Stixguru The Art Of Stixplay

形態:DVD-R
時間:77分
価格:25米ドル
Webはこちら
(日本語字幕番をジャグリングショップナランハ(株)で購入することができます)




情報があまり豊富とは言えなかったフラワースティック、デビルスティックの分野に昨年(2003年)加わったビデオです。教習ビデオのようにも見えますが、教習ビデオとしては今ひとつです。しかし、ある程度できる人にとっては技の宝庫といえましょう。

言葉による説明は全く無く、BGMが流れる中、様々なロケーションで次々と技を見せていくという形になっています。技名の表示とともに同じ技を3、4回繰り返し、必要に応じてスローモーションが入ります。また、途中のあちこちと最後に、フリースタイルのデモ演技がいくつか収録されています。全体に、PeaPot Video の 3 Balls Different Ways(ボール)や Radical Fish News(クラブ)に近い感じの作りですが、おふざけはありません。ところどころに古今東西の格言が英語字幕で入りますが、読む必要は特にないでしょう。

内容は技の系統別に章立てされており、難易度別には分かれていません。やさしい技と難しい技を並べて紹介しているので、初心者は自分が挑戦できる技を拾い出すのが大変だと思われます。
また一部ではありますが、ある技を繰り返し見せている間に失敗しかけてリカバリを入れているところがカットされずに残っていたり、反対に余裕のあまり即興のオマケ技が入っていたりで、見ていて「あれ?今なにやったの?」と混乱する箇所もあります。
あえて意地悪な言い方をすれば、「腕自慢が、できる技を全部並べて見せた」という評もできてしまうビデオです。

その一方で、デモンストレーターであるマイケル・セイザー(Michael Sather)の高い技術と技の多彩さには目を見張るものがあります。フラワースティック特有の遅い動きと粘りを活かして次々と繰り出される高難度の技に加え、両端の房にハンドスティックを引っかけて行うフラワースティックならではの技や、腕、脚、頭を総動員した技が山盛りに紹介されています。デビルスティックではちょっとできそうにない技の難度と手数の多さに、デビル派の私が思わず「フラワースティックってずるい」と負け惜しみを漏らしてしまった気持ちは、デビル使いの方には分かってもらえるのではないでしょうか?(注)


さらにハンドスティックをペン回しのように指先で回すフラリッシュの数々や、フラワースティック2本での様々な技にも章を割いています。フラワースティックあるいはデビルスティックで一通りの技ができるようになった人にとっては、とても刺激的なビデオで、次に挑戦する技を捜すにはもってこいと言えるでしょう。

映像は並以上に鮮明で、変化に富んだ美しい背景のおかげもあり、見ていて苦になりません。環境ビデオのように、流しっぱなしにしておくのも悪くない感じです。ただし、「編集機の機能を一通り全部試してみました」という感じの過剰な映像効果はややうるさい気がします。

センタースティックとハンドスティックによるジャグリングの章は、光るアイディアがいくつか含まれているものの、クラブジャグリングの基礎技が延々と続きます。どうせ説明がないなら、この部分はクラブジャグリングの入門ビデオに譲って、他の技を紹介してもよかったのではないかと思いました。
収録されている技は難しくて複雑なものが多いので、もしも続編を作ることがあるならば、上下がはっきり色違いのセンタースティックを使ってもらえると、動きが分かりやすくなるのではないでしょうか?



私は、マイケル・セイザーによるデモンストレーションを1999年のIJAフェスティバルで間近に見ています。その時も彼は見物人置いてきぼりでいろいろな技を見せていたのですが、「デビルスティックでも同じことができるか?」という質問に応えて、デビルスティックでもほぼ変わらない技の冴えを示していました。「弘法筆を選ばず」ということですね。


題名: Stixguru : The Art of Stixplay
時間: 77分
形態: NTSC VHS ビデオテープ / DVD
価格: 25米ドル
Web: http://www.stixguru.com/ (サンプル動画あり)
取り扱い:
Dube http://www.dube.com/
Todd Smith http://www.toddsmith.com/
ナランハ http://www.naranja.co.jp/




文責・著作権 西川正樹
ジャグパル第23号より、Web公開向けに修正のうえ転載。


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